新型コロナによって大勢での集まりが難しくなり、葬儀も小規模な家族葬が一気に広まったように見えます。国立歴史民俗博物館の山田慎也教授は、肥大化と縮小を繰り返してきたのが葬儀の歴史だと言います。写真とともに、振り返ります。(田中聡子)
新型コロナによって、家族葬など葬儀が一気に小規模化したように見えますが、この流れ自体は1990年代後半から続いてきたものです。コロナはその流れを加速したり、正当化したりしました。
江戸の町人、明治の中産、そしてバブル期
歴史的に見ると、葬儀は肥大化しては縮小することを繰り返しています。明治時代には、葬列が派手になりすぎ、中産の家で2年間に両親亡くなると家が傾くと言われたほどでした。それに対し経済的負担や交通の発達、近代的な発想などから葬列が廃されました。江戸時代も、豊かな町人は棺にかける着物の枚数を競うような華美な儀式が広がり、幕府が「身分にふさわしくない」と取り締まっていました。直近では、バブル期が最も豪華です。告別式に花輪をずらりと並べ、大勢が参列する形が主流でした。
ひずみが大きくなり覆い隠せなくなった
その形が崩れ、告別式などを…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル